【CoachingWorld】コーチが有能なスピーカー(講演者)になるために

コーチングワールド ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください

今回は、2015年8月号から、牧野内正雪氏に翻訳いただきました『コーチが有能なスピーカー(講演者)になるために』の記事を御紹介します。


コーチが有能なスピーカー(講演者)になるために
Coach to Speaker

私は先日、ファイナンス分野の女性のリーダーシップに特化したエグゼクティブコーチ、ジューンから一本の電話を受けた。

ジューンはビジネスを大きくすることを熱望しているが、新しいクライアントを獲得するのに困難を感じているとのことだった。そしてもしこのままビジネスを拡大できないようであれば、フルタイムの仕事を探さなければいけないと悩んでいた。また、彼女は人前で話すのが苦手なのだと私に打ち明けてくれた。

ジューンは私がこれまでに出会った他の有能なコーチたち同様、有料クライアントとの良質な基盤を築こうとしていた。しかし悲しいことに、現実には、ビジネスを築くもっとも良い方法のひとつである人前でのスピーキングを、ジューンも多くのコーチたちも楽しんでいないのだった。

コーチにとって、イベントやカンファレンスでスピーキングを行うことにはたくさんのメリットがある。例えば、以下のようなものだ。

  • 効率がいい
    部屋いっぱいの人に話をするのは、たくさんの人に同時にセールストークができるようなものだ。
  • 知ってもらえる機会ができる
    スピーキングによる出会い-特にターゲットとなるマーケットに属する人との出会い-はあなたのこと、あなたというブランドや、コーチとしてあなたが何を提供できるのかを知ってもらえる機会を作ってくれる。
  • 関係性を構築できる
    あなたを良く知れば知る程、人はあなたを好きか嫌いかという判断を(1対1で感じるような余計なプレッシャーなく)できるようになる。コーチングビジネスでは、あなたと他との違いとなるものは“あなたそのもの”に他ならない。他者とどれだけ差別化できるか、クライアントの目にそれがどれだけ価値のあるものに映るか。他者と競ったり、現状をなんとか持ちこたえることに時間をかけすぎるという危険を冒さずに、あなたが何者であるかを伝えられるのだ。

多くのコーチにとって、自身に満ちた有能なスピーカーになるための最も大きなハードルは、「聞く」ことから「語る」ことへの切り替えだろう。コーチとしてのあなたには、クライアントのための空間を創る義務がある-全ての注意を彼、もしくは彼女に向けなくてはならない。スピーキングでは、参加者の注意はあなたに向けられるが、あなたの注意は一人ひとりそれぞれのものの見方、ゴール、望みを持った人たちで満たされた部屋全体へと向けられる。しかしどちらも目的は同じだ。コーチングであなたはクライアントの変化を促すが、スピーキングでは部屋にいる一人ひとりの変化を促すことになる。

以下の5つの方法は、あなたのブランドを構築し、ビジネスを育てるための戦略としてパブリックスピーキングを取り入れる助けになるだろう。

  1. スピーキングを、最もレバレッジの効くセールスツールのひとつとして認識する
    セールス用の対話を一対一で行うのはあまり効率的な時間の使い方ではない。1回の講演会で40人の聞き手に話すことができれば、あなたは40時間のコーヒーミーティング分の時間を節約できたことになる。その時間であなたは有料クライアントにコーチングを行うことができるのだ。
  2. 聞き手を分析する
    彼らの抱えている問題は何か? 彼らが恐れていることは? あなたのどんなメッセージがその問題を解決してくれるか? 聞き手たちの問題意識や彼らの頭の中で起きていることについて、あなたは深く理解しておく必要がある。そうしておかなければ、話の途中で彼らはすぐに迷子になってしまうだろう。TEDスピーカーであり作家でもあるサイモン・シネックはこう言っている、「WHYから始めよ!」。WHYはあなたをより速く聞き手たちと繋げてくれる。
  3. ファシリテートしない
    スピーカーとして、聞き手にアプローチするために駆使するものとしてあなたにはいくつかの選択肢がある。ストーリー、分析、ユーモアなどだ。しかしマイクを聞き手たちに向けたアプローチを長く続けるべきではない。もし参加型が聞き手たちにとって一番良いアプローチだとしても、制限を設けるべきだろう。例えば、いくつかのポイントでのみ、手を上げての発言を許可するなどだ。他にも話の中で何度か周囲の人たち同士で話す機会を設けるのもいいだろう。
  4. アクティビティに注意
    プレゼンテーションの中に何らかのアクティビティを設けるのは、話のエネルギーや勢いを削ぐ危険性がある。もしアクティビティを盛り込むのであれば、エネルギーレベルが失われない様、彼らが話自体と同じペースで進められる様に注意したい。
  5. 事前準備をしっかりとする!
    あなたのメッセージとキーポイントが明確であること、それらが聞き手に関連するストーリーや例、ケーススタディや証拠に裏づけされていることを確認しておこう。また、話を急がず、適切なペースや話のエネルギーを保つよう心がけたい。話が遅すぎたり、ぎこちなかったり、ポイントが明確でなかったりすると、聞き手の意識はあなたから離れて行ってしまうだろう。
  6. スピーキングによるアプローチを準備し行うことにより、あなたはコーチとしてのポジションやブランドを構築することができるだろう。「聞く」から「語る」に変えることによって-コーチからスピーカーへとシフトすることによって-あなた自身の考えを共有し、あなたのブランドを構築し、一対一のセールスから一対他の大きな機会を得られるようになるのだ。


    著者情報
    ジェーン・アンダーソン, PCC
    『Impact: How to Build Your Personal Brand for the Connection Economy (Green and Gold Publishing, 2015)』の著者。彼女は、個人起業家がスピーキングや、ソートリーダーシップ、著作物の出版などによってビジネスを育てるためのサポートを行っている。2014年度Telstra Business Women’s Awardsにノミネートされた。ジェーンについて詳しくは、jane-anderson.com.auを参考にされたい。

    【翻訳 牧野内正雪】
    Originally written in English by Jane Anderson, PCC.
    Coaching World, Issue 15, August 2015, p18
    http://icfcoachingworld.com