【CoachingWorld】あなた自身を聴く ~道具箱から~

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ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください

今回は、2015年 5月号から、原口 佳典氏に翻訳いただいた、『あなた自身を聴く ~道具箱から~』の記事を御紹介します。


あなた自身を聴く ~道具箱から~
Core Competency #5

私がコーチをトレーニングする時には、私は「クライアントはどのようにあなたと出会うか?」という質問に拘って欲しいと望んでいる。

すなわち、クライアントは、どのように、コーチとしてだけではなく、人としてのあなたに影響を与えるか?ということである。

コア・コンピテンシー5
積極的傾聴

クライアントが願望として語っている意味を理解し、その自己表現をサポートするために、クライアントが語っていること及び語っていないことに、完全に集中できる能力


コーチとして、私達は、ただ、私達のクライアントの言うことを積極的に聴くことだけを課されてはいない。私達は、コーチングの会話に、親密に巻き込まれて、その関係の中に浸る必要がある。結果として、多くの段階において、私達は、クライアントが言ったこと、言っていないこと、そして、彼がどうであるか、から影響を与えられることがありそうである。

私達の注意はクライアントに向けられている必要があることは真実だが、しかし、同時に、私達は、私達自身の考え、感情と感覚に気づいている必要がある。これは、私達の耳と、私達の関係の場で起こっているすべてのことに注意を払うこと以上に多くを聞くことを必要としている。そのような方法で聞くことは、私達が、クライアントの話していることにおいて、明示的ではないかもしれない何かに気づくことを可能にする。

例えば、もし、あなたが、幸福でオープンなコーチングセッションであると感じていたとして、しかし、あなたが、セッションの間に、悲しいか、緊張しているか、怒っているか、または痛ささえ感じていると気づいたなら、この会話またはこの関係において、そのような変化を起こすかもしれないものについて、少なくとも好奇心を持つ価値はあるだろう。もちろん、あなたは「間違っている」かもしれない。しかし、重要なことは、聞くこととあなたの好奇心をあなたのクライアントと、共有することである。「真実」としてではなく、あなたが体験し、コーチングに提供できる何かとして。

最近のコーチングセッションで、あるクライアントが、彼女は気を遣うのを止め、人生について非常にシニカルになり、彼女は自分のキャリアを辞めたがっていると私に話した。彼女は無表情のままで彼女の声のトーンは変わらなかったけれども、彼女が多くを話すと私が感じる悲しみも増した。結局、私は、彼女の言葉によって今にも泣き出しそうであると認めた。彼女はその後わずかに軟化し、彼女が感じたけれども、それを認める勇気がなかった苦痛について話しはじめた。それは私達の激しい瞬間であり、それが私達の会話のエネルギーを変えた。

私に起こったことを振り返ってみると、私は、自身が誰の悲しさを感じたのかと不思議がっているのを発見した。それは彼女のものだったのか、あるいは私自身のものであったのだろうか? 私の彼女に対する注意は明確に消え、私が彼女に対して行わなければならなかった反応が動いた。しかし、もし私が自分の反応を「ニュートラルに」無視したならば、私達の会話がどこに辿り着いただろうか、私にはわからない。私の共有は、コーチィの中を開き、彼女の無表情な表面の下で起こっていた何かを、彼女により深く見つめさせる挑戦を促進した。

コーチングすべてが関係についてであるというアイデアは、根本的なものではないけれども、私達は、しばしば、私達のコーチングスキルを洗練し、増やすために、私たちはクライアントだけを動かそうとすることに集中する傾向がある。私達はコーチとして関係性の中にいて、それによってインパクトを与えられているということを思い出すことには価値がある。これは私達コーチに、探索と問い掛けのために準備の整った領域を残してくれている。どのようにして私達は、まだクライアントとの会話がまだ続いている間に、自分自身の感覚、反射、およびクライアントへの自分の反応に、注意を払いはじめるのだろうか?

私は以下の質問によってこの文章を終わらせたい:私達は、どのようにして、私達自身と接続することなしに、私達のクライアントと本当に接続することを、保持し続けようというのか?


著者情報
Aboodi Shabi, PCC
Aboodiはコーチのコーチとトレーナーとしての約20年の経験によって、世界中で数千人のコーチとリーダーと働いた。彼はICF英国の設立共同社長であり、ヨーロッパの指導コミュニティの他のボランティアリーダーシップ役割を引き受けた。彼はCTLリーダーシップの共同設立者であり、ヨーロッパのニューフィールドネットワークの指導プログラムを提供する。彼についてもっと知りたければ、aboodishabi.comにて。彼へのEメールは aboodi@ctileadership.comへ。

【翻訳 原口 佳典】
Originally written in English by Aboodi Shabi, PCC
Coaching World, Issue 14, May 2015, p10-11
http://icfcoachingworld.com