【CoachingWorld】企業内コーチングの新たな機会

コーチングワールド ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください

今回は、2016年2月号から、牧野内 正雪氏に翻訳いただいた『企業内コーチングの新たな機会』の記事を御紹介します。


企業内コーチングの新たな機会
企業内コーチングの新たな機会数字は語る:スタンフォード大学経営大学院、スタンフォード大学コーポレートガバナンスロックセンター、The Miles Groupの先導により実施された『2013年度エグゼクティブ・コーチング・サーベイ(2013 Executive Coaching Survey)』によると、34%のCEO、51%のシニアエグゼクティブはコーチングを受けている。同時に、2014年にICF及びHuman Capital Institute(HCI)が行った企業内コーチングの研究、『コーチングカルチャーの構築(Building a Coaching Culture)』によると、43%の回答者が在籍する企業で内部コーチを雇っており、その60%が、それにより高い可能性を持つ従業員がコーチングを受けることが出来たと答えた。リーダーシップとエグゼクティブコーチングがビジネス界において非常に大きなポテンシャルを持っている一方で、コーチングは企業の下位層にも広がり、コーチにとって新たな機会が創出されているようだ。

企業によるコーチングへの新たな要求

近年各企業は、コーチングを能力ある従業員を定着させ、リーダーシップ開発をし、ソフトスキルを高める手段として捕らえてきている。

能力ある従業員の定着

2008年の不況からの回復はゆっくりであったため、これは安定していた。2009年以降、900万の新しい仕事が産まれている。多くの能力あるマネージャーは、現在いる企業の内外でステップアップの機会を狙っている。21世紀始めから大きく変わった点として、エグゼクティブチームが直面する大きな問題の一つが能力のある人材を引き付け、定着させることだ。人員が離脱した際のコストは高く、特に能力のある者であればあるほどそれは顕著になる。これは、トレーニングや開発に対する企業のアプローチが大きく影響する分野だ。
賃金の向上や金銭的なインセンティブだけでは、人員を留め置くことは出来ない。リサーチは、従業員が企業を退職する理由に報酬はあまり関係がないと示している。機会がもらえない、退屈、挑戦がない、ワークライフバランスが崩れているといったことが退職理由の70%を占めている。報酬への不満はこれに比べると退職理由としては少ない。
そして、こここそコーチングが機能する部分でもある。企業内コーチは高いポテンシャルを持つ従業員の人材開発を行う際、マネージャーとしての昇進や行動の誤りについて扱うだけでなく、マネージャー自身の企業に対するコミットメントも扱うべきだろう。マネージャーと従業員は企業に属していることと、個人的にも成長していることを感じられる必要がある。個人の成長やソフトスキルに焦点を合わせることで、コーチングは従業員を企業に定着させている。ICF及びHCIによる2015年のデータによれば、強いコーチングカルチャーを持つ企業の従業員の60%が、自らは企業に強い帰属意識を持っていると評価している。

リーダーシップ開発

リーダーシップ、パフォーマンス、及びマネジメントの変革は、企業内コーチングにおいてキーとなる分野である。HCIの単独、及びICFとHCIの共同リサーチによると、企業がコーチングを利用する主だった理由としてよく挙げられる様に、リーダーシップ開発は、マネジメントと新人研究を変革する。エグゼクティブとCスイート(経営幹部レベル)は企業でのコーチングのメインターゲットであり続けており、この分野のポテンシャルは非常に大きい。スタンフォードのサーベイによると、大企業のCEO約33%がコーチングを受けており、100%のCEOが外部からのフィードバックによる変化を受け入れるつもりがあると答えている。更に、重役会はディレクターやCEOへのコーチングをより頻繁に行うべきだと薦めている。

ソフトスキルの改善

人材の定着、リーダーシップスキルなどこれまでも一般的であった分野の他に、、コミュニケーションやチームワークや意志決定などのソフトスキルが企業でも有益な分野として認識されるようになって来ている。この分野では、コーチの役割は従業員が自分自身を知ることである。例えば、コーチとしてあなたは、クライアントがチームに対して有効なフィードバックや生産的な参加を行えるように能力を育てていくサポートをしていく必要がある。企業は全てのレベルにおいてコーチングのカルチャーを構築していく価値に気付き出しており、この分野のポテンシャルは大きい。ICFとHCIの2015年の研究『従業員の帰属意識向上のためのコーチングカルチャーの構築(Building a Coaching Culture for Increased Employee Engagement)』では、強いコーチングカルチャーを持っていると分類されたのは参加企業の内13%だけであった。この未開発の分野は、大きな可能性を秘めている。

全てのコーチへの機会

情報通でビジネスを創りだすのが得意なコーチたちは、自らのサービスと企業のニーズやトレンドを融合させようとしている。すでにエグゼクティブコーチングをCEOやCスイートリーダーに行っているベテランの実践家たちは、自分たちのポートフォリオを広げ、より多様にするために、エントリーレベルから中間レベルのマネージャーの新しい要望に対して動き出している。同様のターゲットは、企業内という環境の中でコーチングを行おうとするコーチにとっても大きな機会を提供している。
企業という環境の中で、あなたはどんなサービスを提供することであなたの価値を示し、新しいビジネスを構築することができるだろうか?人材部門の責任者のような企業の裁決者たちに、独自のプレゼンテーションやワークショップを創り上げ提供することで、どのようなゴール戦略をサポートし、コーチングへの投資に高いリターンを返すことができるだろうか。
一歩を踏み出そう。小さく始めよう。具体的にやろう。ターゲットとなる成長分野に集中し、重要な変革を生み出すためのプログラムを創ろう。多くの企業では改善を必要としている。挑戦を選び、進んで行こう!


著者情報
Odile Carru, MBA, PCC
オディールは、認定されたエグゼクティブ&コーポレートコーチである。クライアントとして国際的な大企業や、個人のエグゼクティブたちにコーチングを行っている。ICFサウスフロリダの代表理事。詳しくは、www.differentcoaching.comへ。

Marc Weinstein, Ph.D.
マークはフロリダ・インターナショナル・ユニバーシティの臨床教授にして、マスター・オブ・サイエンス・プログラム・イン・ヒューマン・リソース・マネジメントのディレクターである。又、コア・リーダーシップ・エリア・フォー・ザ・グレーター・マイアミ・ソサイエティ・フォー・ヒューマン・リソース・マネジメント(GMSHRM)のバイスプレジデントでもある。

オディールとマークは、2015年にフロリダ・インターナショナル・ユニバーシティでGMSHRMのキャリア・デブロップメント・デイを行うにあたり共同。「プロフェッショナルとしての初めの一歩で成功するために:コーチングによるアプローチ」と題したワークショップを開催するのみならず、ICFのコーチたちによるボランティアチームを率い、南フロリダの学生100人以上にコーチングを行った。

【翻訳 牧野内 正雪】
Originally written in English by Odile Carru, MBA, PCC & Marc Weinstein, Ph.D.
Coaching World, Issue 17, Feburuary 2016 p22-23
http://icfcoachingworld.com