【CoachingWorld】ウェルネスとコーチ

コーチングワールド ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください

今回は、2015年11月号から、牧野内正雪氏に翻訳いただきました『ウェルネスとコーチ』の記事を御紹介します。


ウェルネスとコーチ
ウェルネスとコーチあなたはコーチングを人を助けるために選んだのではないでしょうか。しかし、多くのコーチはクライアントをサポートするのは得意でも、自分のことを助けるのは苦手な傾向にあります。あなたがベストなコンディションでないければ、クライアントを効果的にサポートすることは出来ません。従って、認識、感情、行動、それぞれの面でのあなた自身の健康は、クライアントへの成果と持続の両方を兼ね備えたサポートのために必要不可欠です。

2014年のALCHEMYキャリアマネジメントによる調査では、以下の4つの項目を元に小さな改善を行うことで、ストレスを8パーセント、仕事のプレッシャーを16パーセント下げ、集中力を6週間で上げることが出来ることが示されました。

”自分勝手”な時間を持つ
飛行機のセーフティーデモンストレーションを考えて見てください。緊急時には、酸素マスクを他人に付けるより先にまずは自分に付けるよう教えられています。これは一見自分勝手に見えますが、理論的には否定しがたいものがあります。他人を助けるためには、まず自分に十分な酸素が供給されていることが必要なのです。それに失敗すると、自分自身を危険にさらすと同時に、周囲にも酸素を渡す機会が減ることになります。

コーチの役割と責任についても同じことが言えます。あなた自身が自分をかえりみて酸素を供給しない状態では、クライアントにとっても良くありません。一度”自分勝手”になる準備が出来れば、クライアントに対しての付加価値を与え続けることができるベストの状態を保つために必要な、持続的な行動の変革に一歩近づくことができることでしょう。

調査は、あなたのウェルネスプロフィールを促進するために、2つの訓練を提示しています。

ウェルネスの神経学
最新のニューロ・プラスティシティー(神経の可塑性)とニューロ・リーダーシップは、集中力と回復力を高め、あなた自身をベストな状態にするために、自身の認識能力と思考パターンを変えることは可能であると、私たちに示してくれています。

前頭前野(PFC)と大脳辺縁系の戦いを見ることから始めてみましょう。あなたの前頭前野は脳の前頭葉にあり、問題の解決や、記憶、学習、意志決定などの複雑な思考を司っています。これは、コーチにとって必要不可欠な脳の働きになります。

大脳辺縁系は、複雑な網目状の組織で、左右の脳の丁度真ん中に位置しています。大脳辺縁系は感情を司っています。このパワフルな組織が機能している時(例えばストレスを感じている時、いらいらしている時、不安な時)、大きく、速く動います。そのためエネルギーの大半はここに費やされ、前頭前野にはほとんど向かいません。結果的に、意志決定や状況判断などは大きく低下します。我々によくある、勘違いをしたり、するべきではないことをしてしまうといった状況はこうした時にあたります。カッとなった時に送ったメールやテキストメッセージなどを考えてみてください。

もしベストな状態を望むなら、前頭前野に十分な空気を送り込み、息をつける余裕を持つことで、高いレベルの作業をこなし続けられるようにする必要があります。

そのために、以下に示した、日々行える4つのステップを行ってみてください。これらはあなた自身のウェルネスに役立つだけでなく、クライアントにもシェアすることで彼らにも役立つことでしょう。

1.難しいことをはじめにやる
前頭前野は1日の活動の中でどんどん疲れてきます。大事なことや、複雑で難しいタスクがあるなら、よく休んだ脳が全力で働ける早い時間の内にやってしまいましょう。ハードな対話や、難しい意思決定を行う際には特にです。昔ながらの「一晩寝る」のが未だに有効なのは、このためです。

2.一つずつやる
複数の作業を同時に行うことは、前頭前野をフル回転させなければならない作業ですが、多くの人が毎日行ってしまっていることでもあります。人間の頭脳は、一つの作業に集中するする方が効率的に機能します。これは、電話が鳴り、SNSに気を散らされ、目は常にメールの受信ボックスをチェックしているような状況では実現不可能です。あなたの頭脳の潜在力を解放するために、十分な時間とスペースを大事なタスクに割り当て、どれだけ思考が冴えるか試してみてください。

3.大脳辺縁系からの脅威をコントロールする
パーソナリティや経験、能力に関わらず、人はみな日々何らかの出来事に会い、
大脳辺縁系を刺激されています。その刺激に気づき、それらを効果的にマネージすることで自分をコントロールし、感情的な意志決定ではなく意識的にものごとを判断するようにしましょう。デイビット・ロックのSCARFモデルは、5つの大きな脅威を知り、コントロールする術を知るのを助けてくれます。

4.6つの柱を立てる
貧しいライフスタイルを選ぶ人は、集中力や自信がなく、エネルギーレベルも低く、人生と仕事のフルフィルメントも低くなります。

2009年、同僚と私はその変数と既存の経験的実証の観察を調べました。結果として、ウェルネスのために6つのキーとなるエリアを特定することができました。我々はこれをウェルネスの6つの柱と呼び、エビデンスはこれらの行動とウェルネスによってもたらされるもの(ストレスレベル、精神的な覚醒、エネルギー、自尊心、記憶力、精力、人生のフルフィルメント、フォーカス、集中力、総括的な幸福度)との因果関係を明らかにしました。

これらの6つの柱は栄養、活動、睡眠、休憩、社会交流、エネルギーのはけ口です。これらの6つについて良い選択をすることが、ベストでいるために、特に変化や、ストレス、逃げられない人生の難事に対する時に役立ちます。

小さなステップ
全ての変化は、あなたの人生をまるごといきなり変えてしまうというものではありません。小さく、メンテナンスしやすい変化は、長い時間をかけて変化し続けるのを容易にします。ですので、あなたにとってしっくりくるものから、今から始めてみましょう。


著者情報
クリストファー・パターソン
クリストファーは個人の転職、企業の変革、企業へのWellness@Work™プログラムの提供などを行うオーストラリアの企業、ALCHEMYキャリアマネジメント代表取締役。

【翻訳 牧野内正雪】
Originally written in English by Christopher Paterson
Coaching World, Issue 16, November 2015, p26
http://icfcoachingworld.com