【CoachingWorld】最適なコーチング料金システム設定のコツ

コーチングワールド ICFでは年に4回、コーチングワールド(CW)という情報誌をオンラインとpdfで発行しています。オンライン版であれば、会員でなくとも、誰でも自由に閲覧することができます。

ICF日本支部では、翻訳ボランティア会員の協力を得て、このコーチングワールドの記事をピックアップして日本語に翻訳し、日本の皆様に世界のコーチング状況をお伝えして参ります。これは将来的には会員専用コンテンツになる予定です。こうした活動を御支援いただくために、是非、御入会を御検討ください

今回は、2016年8月号から、田中チズ氏に翻訳いただきました『最適なコーチング料金システム設定のコツ』の記事を御紹介します。


最適なコーチング料金システム設定のコツ
最適なコーチング料金システム設定のコツコーチングの料金システムは、前払いか後払いのどちらかが基本です。両者の長所と短所を理解し、皆さんのスタイルに最適な料金支払い体系を選びましょう。

世界各国にクライアントを持つ私は、通常、前金制のコーチングを提供しています。達成したい目標やテーマに応じて、クライアントが適切なセッション時間やメニューを選択できるよう、ホームページのデザインはとてもわかりやすく構成しています。全タイプ別の料金を明示し、シンプルな決済画面を採用しています。とはいえ、クライアントがそのシンプルさに惹かれ、海外のコーチングサイト上にクレジットカード情報や個人情報を入力し、簡単に料金を支払ってくれるだろうと予想するのは早合点です。返金保証制度はクライアントの安心につながるため、キャンセル料や返金の方針はホームページ上に明確に表示しておくことが大切です。

コーチング業界でよく使われているもう一つの手法が、初回のみの無料セッションを提供することです。コーチングのテーマや目標の発見をサポートする「ディスカバリー・セッション」などのセッションや会話は、潜在クライアントおよびコーチがお互いを理解し合うのにとても役立ちます。潜在クライアントが特に希望する場合には、「ディスカバリー・セッション」の一環として、15分間で一つのテーマを掘り下げる「レーザーコーチング・セッション」を行えば、クライアントがあなたのコーチングスタイルを知るきっかけになるとともに、コーチ側にとってもセッションを始める前段階としてクライアントを評価する助けとなるでしょう。

明確や料金システムや無料トライアルを提供しても、前金制がクライアントにとってリスクを感じるものであることに変わりはありません。割引制度やセッションの進捗に応じて追加料金を支払っていく追加課金制度など、支払い方法の選択肢についても準備しておくことが必要です。前金制度を維持しながらも柔軟性があることがこの方法の長所で、固定クライアントの確保が難しくなる可能性がある点、クライアントによるクレジットカードの支払い取り消しの可能性が高まる点などが短所として挙げられます。

なぜそのようなリスクを冒す必要性があるのか、疑問に感じる読者もいるのではないでしょうか。クライアントが支払いを拒否する可能性ももちろんあるでしょう。その場合、第三者機関に売掛金の回収を委託したり、裁判を検討することがリスク回避の手段となります。また、国によって違いますが、回収不能分を不良債権として書き換えることも検討できます。しかしながら、コーチングのようなサービスにおいては泣き寝入りするしかないケースも現実的には多く存在します。

一方、後払い制度の長所は、新規クライアントの獲得が比較的容易である点にありますが、当然ながら、支払い漏れや延滞が起こる可能性が高くなることが短所となります。いずれにしても、法的な回収手続きや第三者による代行回収はコストも時間もかかるということを肝に銘じておきましょう。

現在の料金システムを継続するのか、いくつかのオプションを組み合わせるのか、あるいは新システムを導入するのか – いずれの場合にも、弁護士や会計士のサポートを受けながら、皆さんのスタイルに最適な料金システムを導入してください。きちんとしたコーチングの契約書を作成し、事業内容の変更に応じてそれを改訂することも重要です。この機会に十分なリサーチを行い、皆さんが作成した契約書の全貌をしっかりと理解してください。また、コーチになって数年以上経過している場合には、新料金システムを導入する前に、会計士に相談して、必要に応じて会計処理を行ってください。いずれの料金システムを採用している場合にも、賠償責任保険などの保証制度は検討の余地があるでしょう。


著者情報
ドミトリー・コンドラティエフ
20年間に及ぶ銀行業界での経験を通じ、事業主の性格や特徴が外的環境と同じくらい影響力を持つことを実感しているドミトリー・コンドラティエフ氏。同業者や金融クライアントとの長年の関わりを通じて、心理的な要素が及ぼす個人的な決断や事業判断への影響についての深い洞察を有する。ポジティブ・コーチング合同会社の創設者で個人事業主。15カ国の個人クライアントに、よりよいビジネス、キャリア、ライフスタイルをもたらすエンハンスメント・コーチング、およびビジョン形成を通じたサポートを行っている。

【翻訳 田中チズ】
Originally written in English by Dmitry Kondratyev
Coaching World, Issue 19, August 2016 p8 Science of Coaching
http://icfcoachingworld.com