【CoachingWorld】コーチングの対話をより豊かにする「遊び」の力

「一生をかけて対話をするよりも一時間遊ぶ方が、その人についてより多くを知ることができる」プラトン

コーチングの対話は組織のカルチャーの中で、才能を育て、維持するための手段として採用されるようになりました。研究によれば、人に対してこのような対話を持つことは、信頼やパフォーマンスを上げ、関係性を良くすることに役立ちます。しかし、クライアントが言葉に詰まり、上手く表現が出来ない時、従来のように言葉と言語的なものがコミュニケーションの手法として機能しない時はどうしたら良いのでしょうか?

通常、幼少期にしか重要視されない「遊び」の持つ力は、大人にとっても重要です。研究では、遊びという手段は、人のイマジネーション、イノベーションや、創造性を年齢に関わらず刺激します。コーチングプロセスの中でもクリエイティブな手段で自らを表現するようにしてもらうことは、クライアントにとっても自分や周囲を取り巻く世界のことを深く理解する手助けになり得ます。

もし遊びを採り入れることにより私達のコーチングプラクティスがより豊かになるのであれば、プロフェッショナルのコーチとしてどうすれば良いでしょうか? 内省的思考と同様に、クライアントのビジュアルシンキング(視覚的に考えること)を刺激することが、コーチングでの関係性を深め、個人の複雑な内面をより速く理解することに役立つのだとしたらどうでしょうか?

カラフルなねんど遊びを導入した私のプラクティスは、意味を見つけ、課題を解決し、決定をすることにおいて非常に価値があることを証明してくれました。その柔軟性に富んだ性質は、探求の可能性が無限大であることを示しています。カラフルなねんどで作られた造形物は、複雑な思考の集まり、感情や行動に囚われることと違い、自由をもたらしてくれます。新しいレベルの洞察や、ノウハウがそこでは明らかになります。

「ここにあるもの」ではなく「あそこにあるもの」にフォーカスすることが出来るので、抑制による壁からも開放されます。ものごとが外面化され、客観化されるので、クライアントも個人的で困難なことであると感じることなく話やすくなります。それに対して言葉は、もっと露骨で露出的です。同様に、明確にすることが難しい課題も、遊んだりものを作り上げることはコミュニケーションの解決策として有効です。クライアントとこの様にワークを行うことは、Jenny BirdとSarah Gornallの言葉にも通じます:「コミュニケーションに全ての感覚を使うことで、より深い絆を築き、よりパワフルに働くことができるのだ。」

コーチとして、クライアントとねんどを使う時に起きることは非常に興味深いものです。穏やかな観察と、パワフルな質問を使いながら、私たちはクライアントのビジュアル世界の中にどんなメッセージが隠れているのかを探って行きます。同じやり方で、非言語的なシンボルに込められた意味とメタファーを、クライアントとの対話やクライアントが柔らかな物体をどう扱うかなどから探ります。出来上がった形や、選択された色はどんなものでしょうか。もしかしたら、その意味はストーリーや、いくつもの可能性のあるシナリオから来ているかもしれません。出来上がったものはもちろん、そのまわりのねんどの欠片をを注意深く見ることも、そこに直感的なシンボルが含まれていることがあるので重要になります。

例えば、つい先日クライアントが小さなねんどの欠片を手の中でくり返し玩びながら、いつまでも下に置いたり、造形物にくっつけたりしないのに気付きました。その後の観察で、クライアントはこの小さな、サイコロ状の欠片を自分のアイデンティティだと認識していることが分かりました。そのアイデンティティは、机の上に置かれるのを、文字通りにも比喩的にも恐れていたのです。

このようなブレイクスルーの瞬間は、言葉では失敗するような場面を遊びが解決する可能性を示してくれています。ねんどは視覚、聴覚、運動感覚のスキルを使うことで、理解し、洞察力を深め、思考のロックを外します。ねんどは複雑なものを切り崩し、自己認識や自信を育てます。ですので、頭で考えることを止めて、少し手を動かしてみてはどうでしょうか。コーチングの対話を窮屈なものにするのではなく、もっと豊かなものにしてみませんか? 時にはおもちゃで遊ぶことから始めてみようではありませんか。


著者情報
ケイティ・デンヤー
ケイティ・デンヤーはハイ・パフォーミング・リーダーシップ・デブロップメント・コーチであり、ものごとを違う目で見ることを大事にしている。ケイティは、クライアントが彼ら自身について何が本当の動機、信念、価値や望みとなっているのかなどを考えるための場所を提供し、彼らが確かさや自信、インパクトやプレゼンスを見つけられるように、他の誰もがしなかった質問をしている。ケイティと繋がるには、インスタグラムのアカウント@pj_coachingへ。


【翻訳 牧野内正雪】
Originally written in English by Katie Denyer
Coaching World, July 3 2017, The Power of Play
https://coachfederation.org/blog/the-power-of-play

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