沿革

1.ICFとは?

ICF はアメリカ、ケンタッキー州に本拠を置くNPO で、プロコーチであり、コーチ養成機関Coach U の設立者でもあるトーマス・レナード(Thomas Leonard)が創立しました。プロコーチが相互に協力することにより、業界の認知度向上を図りたいという創立主旨において1995 年に産声を上げた団体で、その3 年後には70 名のボランティアにより組織運営を行う団体に成長し、コーチング業界における非営利団体としての成功モデルとなりました。

多岐にわたるICF の活動の根幹を成すのはコア・コンピテンシー(Core Competencies)と倫理規定(Code of Ethics)です。それらは業界全体の標準となる規定として現在全世界のコーチに広く認知されているだけでなく、多くのコーチ養成機関やコーチを採用する企業がコーチングの指針として活用しています。

また、コーチが提供するサービスの質や一貫性を統一するための認定資格制度の開発及び運営を積極的に行うことで、業界全体のレベルアップや質の維持に寄与してきました。ICF の資格である、Master Certified Coach(MCC)、Professional Certified Coach(PCC)、Associate Certified Coach(ACC)の呼称は業界内だけではなく、コーチを採用する企業や個人がその質を見定めるためのアイコンとして特に欧米では認知を得ています。

現在のICFは20,000人以上の会員規模の組織として運営されており、その会員分布は全世界に広がります。ICF は会員の存在するそれぞれの地域や国ごとにより密着した活動をするための方策として「チャプター制度」というものを導入しています。ICF が定義するチャプターとは、その国や地域のICF 会員がボランティアベースで活動を行う非営利組織です。その役割はICF の発信するメッセージの中継機関であり、実際にコーチが顔を合わせてコミュニケーションを図るイベントの開催や、継続的な学びの場の提供などを通じて、
ICF の啓発活動を行うことなどにあります。

2.ICF ジャパンの設立経緯

ICF ジャパンは上述のチャプター制度の一環として正式にICF 本部より認定を受けている日本で唯一の団体です。ICF ジャパンの歴史は2008 年にさかのぼります。前年にアメリカで開催された、ICF の国際イベントであるICF グローバル・カンファレンスに日本から参加したアンソニー・クルカス(Anthony Clucas)、芝井麻里、田中智子を始めとする数名は、その規模や主旨に感銘を受け、こういったイベントや取り組みが日本にも必要だと語り合い、帰国後にそういった団体の設立の可能性を話し合うことを約束しました。
帰国後彼らはより具体的にその団体の設立について話し合い、メンバーを募り、日本にICF 認定チャプターを創立する計画を立てました。これが、ICF ジャパンの前進となるICF 東京チャプターです。2008 年9 月にICF の認証を受ける形で正式にICF チャプターの一員に加わりました。

この創立時に代表に就任したのが上述のアンソニー・クルカスです。オーストラリア出身のプロコーチで、その活動拠点は日本にあり、英語、日本語共に堪能であるアンソニーは、日本におけるコーチングの可能性を世界規模で見ていました。日本で活動を行うコーチが国籍や出身コーチ養成機関、経験などを問わず共に学び、交流できる場所が必要だという思いから、コーチングに興味のあるすべての人にオープンな場を提供したいという主旨を掲げてのチャプター発足となりました。このような主旨と、公用語に英語を採用したことにより、設立当初は日本で活動する外国人コーチと英語を使える日本人コーチが中心となる会員構成となりました。

2008 年の発足からICF 東京チャプターではゲストスピーカーを招いてのディナーイベントを定期的に開催してきました。代表的なイベントには、脳神経科学者のDr. Joan King 氏、アメリカで活動するトランスフォーメ−ショナル・コーチのDr. Katherine Holt氏、ICFグローバル・カンファレンスで「Wind from the East」のプレゼンテーションを行った島村剛氏、井上奈緒氏を招いてのイベントなどが挙げられます。また、2009 年5 月よりICF コア・コンピテンシーを題材とした定期的なイベントを開催し、コーチへの学びの場を継続的に提供することや、日本コーチ協会東京チャプター主催のイベントである「コーチングフェ
スタ」でのプレゼンテーションなど外部イベントにおけるICF の紹介も行なっています。

3.更にスケールの大きな活動を目指した2 代目代表

2010 年、ICF 東京チャプターは2 代目の代表に新堀進が就任し、それまで英語だけだった公用語に日本語を加え、バイリンガル化を行いました。これにより、より多くの日本人コーチが会員として参加することになりました。

新堀は企業でのマネージメント経験が豊富なコーチで、その才能はチャプター運営にも生かされました。特に「実行力」という面に長けており、チャプター運営でも「実行することで存在意義を感じてもらう」ということに重きを置いていました。その真価が発揮された一例に、ICF 本部会長を招いてのイベント開催が挙げられます。2008 年にICF の会長として選任されたエド・モデル(Ed Modell)は、海外でのICF 活動の啓発により積極的な方針を打ち出し、アジア訪問はその重点方策の1 つとして計画されていました。当時のICF 東京チャプターの活動は、日本全国に高い認知を得ていたとは言い難い状態でしたが、会長を招くことで認知度を向上させることができるのではないかと考えました。新堀は当時のコミッティーメンバー(運営委員会)のモチベーションを高め、インフラを整え、協力スポンサーを誘致し、アメリカ本部との交渉も骨太に行い、結果的にICF 会長の来日というこれまでに例のない新しい取り組みへの道筋をつけました。しかし、当初予定していたICF 会長を招いてのイベントは、2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災により中止を余儀なくされました。このイベントは同年4 月に開催予定のイベントでしたが、ICF 本部の全面的なサポートもあり、同年10 月8日に「ICF Global Coaching Forum」として改めて開催されることが決まり、100 名以上のコーチや関係者が参加するイベントとなりました。
この活動は2011 年だけの開催にとどまらず、2012 年9 月1 日には当時のICF 会長(Janet Harvey)及び、ICF 次期会長(Damian Goldberg)をアメリカから招いてのイベントと懇親会を開催することに成功します。このような規模の大きいイベントを開催することで、ICF チャプターとしての活動は日本のコーチに少しずつ認知されることに繋がります。

またその活動は日本のコーチに対する認知を広げただけでなく、積極的なチャプター活動としてICF 本部にも認知されることに繋がります。その結果の現れの1 つとして、2012 年4 月、ICF 東京チャプターはICFジャパンチャプターへと名称変更を行います。これはICF の命を受け、より大規模の活動を日本全国に行うことを意味しており、同年からICF の日本における活動を一手に担うこととなりました。

4.非営利法人の設立で正式なチャプターへ

2013 年1 月、3 代目代表として林健太郎が就任します。この就任を機に活動規模の更なる拡大を行うために非営利法人を誕生させようとしています。また、これまでICF ジャパンチャプターという通称を使い活動を継続してきましたが、このタイミングで正式な日本語名称を、「国際コーチ連盟日本支部」と定めました。

実は、ICF のチャプターにはボランティアベースで有志のコーチが集まって構成される一般チャプターと、より組織化されアクティブに活動する団体としてICF に認められたChartered Chapter という2 種類があります。この法人化によりICF ジャパンはChartered Chapter として認定されることになりました。現在、アジア太平洋地域でこのChartered Chapter として認められているのは、日本、シンガポール、オーストラリア、ハイデラバード、韓国の5 チャプターのみで、今後マレーシア、香港がその仲間に加わる予定です。

法人としての成立を機に、ICF ジャパンは正式な理事会機能を持つ団体になります。また理事の他に運営に携わるスタッフが集まる運営委員会を組織し、活動の基盤の強化を図ります。また、アドバイザリー・コミッティー(顧問)としてコーチングに関連する主要団体のリーダーと提携するなど、業界全体の協力関係を作ることにも着手しています。